2021年11月

2021年11月27日

るろうに剣心 最終章 The Beginning

母の介護以外にコロナ禍ということもあり
一昨年の1月に「ロマンスドール」を映画館で
2月に「天保十二年のシェイクスピア」を日生劇場で観て以来
映画や演劇を劇場へ観に出向くという事はなくなりました。

最近はどうしても手元に置きたい映画、演劇は
ディスクで観ていますし、その他はデジタルコンテンツ等で観ます。

昨日は先日届きました
「るろうに剣心 最終章 The Beginning」を観ました。

佐藤健さん主演の「るろうに剣心」は知ってはいましたが
私の好奇心の範囲外の映画でした。
正直言いまして高橋一生さん目当てという理由だけで購入しました。

幕末のもつ得体の知れない空気と期待感が漂う混迷の中
国を左右するような枝葉が複雑に交差する思想を巡り
それぞれの実現を強く目指す多くの若者らが
自分達が考えうる国の未来を描き我武者羅とも言える勢いを持ち
命すらかけてエネルギッシュに動き回る動乱の世界を描いています。

後に抜刀斎と恐れられた抜刀術の極みに達した
緋村剣心(佐藤健さん)を見出した
倒幕派の長州藩士桂小五郎役が高橋一生さんでした。



ひと目観た途端、アンニュイな空気を纏いながらも
人の意を射貫くような桂小五郎の上目遣いに
相手を思いやりながらも自身の想いを
貫こうとする色気を強く感じました。

卓逸した存在感と同時に、彼の中で暗躍する数知れぬ想い等が
観ているこちらに飛び込んできました。

上に立つ者としての落ち着きと大人っぽさを充分に持ちあわせ
追手からは徹底して逃げ通す柔らかい身のこなしは
逃げの小五郎などと言わしめます。

彼にとっては新しい日本を勝ち取るための
確たる想いあっての道のりであったと私は捉えます。

同じ尊皇攘夷派の中でも過激派思想を排除しようとしたのが
新選組だったわけなのですが
藩という方向性を持つ存在との兼ね合いも
一層複雑な体を成していたと想います。

そんな背景の中で繰り広げられる緋村剣心と雪代巴の
無垢な男女の成り行きに胸が詰まる想いでした。



得体が知れないけれど、どこかおおらかで‥
そして‥肉欲的で、生々しさが漂います。
でも‥危険で、死は隣合わせ‥

胸がうずく程の強い期待感が湧き上がり
居ても立っても居られない‥

そんな世の流れに自己の想いを委ねた刹那的な生き方は
想像しただけでもエロティックです‥

やっぱり映画は観てみないとわからないなぁ‥と
つくづく想いました。

食わず嫌いのようなものでした。

実に、質の高い映画でした。
面白かったです。





にほんブログ村 映画ブログ 映画情報へ
にほんブログ村





mixiチェック

2021年11月15日

岸辺露伴!4,5,6話情報!



12月27日~29日に放送予定のNHKドラマ
「岸辺露伴は動かない」の放送エピソードが決定しました。

第4話はエピソード#09「ザ・ラン」です。
この話は岸辺露伴を心から反省させ
事の次第の全ての原因は自分の性格に非があるからと言わしめ
露伴ちゃん自ら自分の甘さを認めた曰く付きのエピソードです。

制御がきかず、行き着くところまで行ってしまった
恐怖キャラの橋本陽馬役は笠松将さんです。

完璧度合いの高い橋本陽馬の公開写真を見ると
彼が「筋肉の神」にとり憑かれ
筋肉育成生活の邪魔をする人間を皆排除していまうような
恐ろしい姿に至る過程を
映像ではどのように落とし込むのか‥期待感が増すばかりです。

第5話のエピソードは本編、“ジョジョの奇妙な冒険”
Part4『ダイヤモンドは砕けない』から「背中の正面」です。

露伴ちゃんからの電話を受け
火事で一部焼けてしまった露伴邸へ
修理改装見積もりするために訪れた
1970年生まれ一級建築士の乙雅三役に市川猿之助さんです。

乙雅三には妙な悩みがありました。
他人に背中を見られるのが絶対に嫌なのです。

歩く時は壁伝いに、落ちた物を人前で拾う時は背中を下に寝転びながら
徹底的に背中を見せることはありません。

そんな彼の怪しく奇妙な動きは
好奇心旺盛な露伴ちゃんを虜にし、見積もりなんて上の空です。

この後「こんな屈辱は初めてだ」と露伴ちゃんに言わせた
〈スタンド〉チープ・トリックの登場となるのですが‥

映像ではどこまでの表現となるのか?とっても楽しみです。



第6話はエピソード#02の「六壁坂」です。

ある日露伴ちゃんは「六壁坂」の妖怪伝説の山へ
取材のため出向いたところ
開発業者がリゾート道路をその山へ通そうとしていたため
取材目的の妖怪が山から逃げて居なくなっては大変だと
山を取り囲む6つの山を買い取ったのです‥

結局リゾート開発が無くなった事で
買った山は二束三文となり露伴ちゃんは破産してしまいました。

で、編集者に前借りをせがむ露伴ちゃんなのでした。

でも露伴ちゃんの取材の価値は充分あったのです。
「六壁坂」の妖怪はたしかにいたのです。

『やつは今もあそこにいるんだ』と露伴ちゃんは言います。

人間の愛と心の弱点に取り憑き
子孫だけを残すのを目的とした妖怪
この妖怪の幸福の絶頂は、誰かの前で死ぬ時‥

妖怪の世話をずっとし続けているのが
六壁坂村で300年続く味噌作りで成功した一族の娘なのです。
その娘大郷楠宝子役が内田理央さんです。

この不気味な話をどのように映像で表すのか‥

前回の“岸辺露伴は動かない”は微に入り細を穿つドラマづくりが
コミックとは別の世界観が出来上がる位の熱量を齎し
観ているこちらはまるで
そこに新世界を見出したような心持ちとなりました。

今年も又自分がそこに居なくなるような
のめり感を期待してしまいます。

ワクワク、ドキドキ
















にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ
にほんブログ村


mixiチェック

2021年11月01日

「約束のネバーランド」を観て「わたしを離さないで」を想う‥

ネタバレ注意

先日録画した映画「約束のネバーランド」を観ました。

ピーターパンが子供や妖精と住む夢の国「ネバーランド」‥
イメージ的にはファンタスティックな映画なのかな?と
何の予備知識もないまま観ました。

果たして‥

ベッドが整然と並ぶ広い洋室に
朝の光がレースのカーテン越しに優しく射しこみます。

子供たちのざわめきが目醒たばかりの空気を一気に覚醒させます。
十代半ばから未就学と思しき子共達の集団が
白に統一された服に着替え、格式高そうな洋館の廊下や階段を
元気よく走り抜け、温かな朝食の準備が整う食堂を目指します。
どの子も一様に弾けるような笑顔をたたえ幸せそうです。

ここは孤児院です。



この孤児院には子供達から「ママ」と呼ばれ慕われている
優しく美しい女性がいます。
イザベルというこの女性は子供達全ての世話をします。

イザベルの組むカリキュラムに則り
子供達は非常に高い集中力を身につけ勉強に励み
お休み時間には広大な庭でのびのびと心置きなく遊びます。

しかし庭の周りに設けてある柵の向こう側には
絶対に出てはいけないという強い規則がありました。

子供たちは孤児院全体を「ハウス」と呼ぶのですが
誰一人「ハウス」の外の世界へ出た者はいないようです。

子供たちが「ハウス」に居られるのは16歳までで
それまでに、それぞれ里親に引き取られ「ハウス」を出ます。

私はこの映画前半の映像を観たときから
「あれ‥?」という想いがすでに頭を擡げていました。
以前観た、あるドラマと同じ世界観がそこにあったからです。

考えすぎかな?と想いつつ観続けると‥‥

里親の元へ引き取られたとばかり思っていた子供達は
実は人喰い鬼の餌になるために
順番に「ハウス」から出されていたという事実が判明したのです。

その人喰い鬼は特に頭脳明晰な子供の「脳」を欲していたのです。

世話係のイザベルは最上級の質の良い子供の脳と
健康でストレスのない子供の身体を人喰い鬼へ献上するため
最高のカリキュラムを組みながら飼育していたのです。

子供たちは首筋に彫られた6桁の番号と
耳に埋め込まれたチップで管理されていました。



ここまで来るとこれはもうあのノーベル文学賞を受賞した
カズオ・イシグロが2005年に発表した長編小説
原題Never Let Me Go、日本語訳「わたしを離さないで」を
モチーフにした作品なのかな?と思わざるを得ませんでした。
(「わたしを離さないで」については本ブログ2020年11月13日付を読んでください)

「わたしを離さないで」においても
クローンである子供たちは寄宿舎の中で育てられていました。
病の人間に健康な内蔵を提供するため
緻密なカリキュラムがしっかり組まれた中で生活します。

そして、提供できる健康な身体に育った頃一時社会へ出されます。
その間、内蔵提供したクローン仲間の介護人ともなり面倒も見ます。

社会に出たクローン人間には
数年のうちに戦争の招集令状のような提供指示の赤紙が届きます。

提供は3回位が限度で、まれに4回提供という強者も‥
空っぽになった身体は全てが終り焼却炉へと運ばれます。

映画「約束のネバーランド」は
2016年から連載された漫画の実写映画化ということですが
救いは人喰い鬼に食べられる前に
残された子供達全員が勇気と希望を持って
「ハウス」から無事脱出出来たことです。

今回、「約束のネバーランド」の映像に観る
「ハウス」全体に存在する世界観は
ドラマ「わたしを離さないで」で観た「寄宿舎」と同じものでした。


何の知識も無く観たので、ちょっとビックリでした。




にほんブログ村 映画ブログ 映画情報へ
にほんブログ村










mixiチェック